Under the cover of night
東京の人は冷たいと言う田舎者が東京に住んで3年目、急行だの通勤特急だのややこしい東横線を未だに間違えまくる。
ぶつかる知らない人の肩、突然刺さる知らない人の鞄、おっと、目の前の知らない人がスマホを落とした。どこからか微かに香る煙草の匂い。
知らない人ばかりのこの世界で孤独を感じるなという方が難しい。
場所を弁えること無くいちゃつく猿共に拍手。
いつだってサラリーマンの目は死んでいる。
午後8時に池袋東口。
安定に5分ちょっとの遅刻。
電話に出なきゃたぶん一生出会えない。
偶然も必然もない、確かなるヤラセだ。
シワの目立つスーツに何も期待なんかしちゃいない。
取り敢えず鄧小平とあだ名を付けておいたおじさんは誰もが知っているような小説の一行を得意気に唄い出す。
最近のお気に入りは東野圭吾らしい。
次は落語。
近頃落語にハマり、夜通しYouTubeを観たせいで寝不足だと。
いたたまれないという言葉の使い方を間違えているから直した方がいいと思いながら微笑んでおいた。
有識者ぶって語り始めるこのおじさんは高卒。
ハイボールばかり頼んで面白味に欠ける。
大学なんて行かなくていいんだよ、学歴社会はもうすぐ終わる、と煙草に火をつけ自信満々に話し始めた。
あ、煙草大丈夫な人?
鄧小平が突然気を遣い出す。
さっきまで1人で突っ走っていたくせに。
非常に苦手ですが、好きな人が吸っている時に限り平気です。
正直に答えた。
笑った口から白い煙が吐き出される。
酒に酔っているのか自分に酔っているのかわからないけれどいい加減にして欲しい。
煙草は本当に苦手だ。
癌になるとかそういうこと抜きで単純に匂いが受け付けない。
しかしここに例外はある。
大好きな推しが煙草を吸っているなら容認する。もしかしたら自分も同じものを吸うようになるかもしれない、知らんけど。
人間は単純だ。
話が長いやつは好かれない。
時は金なり。
その通りだと思う。
100万円で買える夢。
ごった返す東横線。
行きたくもない大学へ通う日々。
何に価値があるのか分からない。
何が本物かわからない。
騙し騙され傷になる。
欺き欺かれて泣き叫ぶ。
どの道を辿れば幸せになれるのか教えて欲しい。
報われたいと祈るばかりで何も手に出来なかった、その敗北すら美徳だと知らない人に歌って欲しい。
他人任せに強請る欲望。
今なら短調の曲を3曲くらい作詞作曲出来そう。
誰か仕事頂戴。
これを読んでいるきみは元気ですか?(笑)
人生2倍楽しめるといいよね。
同じ喜びを共有し合った友達も勿論好きだけど似た苦しみを味わう仲間も同じくらい好きだよ、たぶん。
ここで出逢えたのも運命。
生きてどこかで会えるとイイネ!!!!!
この夜に乗じて、冗談を。