し合わせ。

 

 

 

「幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭は不幸の相もさまざまである」

トルストイは小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭に記した。

 

しあわせになりたいだなんて

冗談のような本音を繰り返しては

今日も私の知らない顔で笑ってるのかな。

 

言えない恋は永遠に下書きに保存しとくから

無かったことにしよう全部。

 

嘘でもよかった。

隣にいてくれさえすれば。

 

遊びでも良かった。

優しかったから。

 

暇潰しでも良かった。

君の役に立てるなら。

 

シンプルだった感情は

いつからか歪み始めた。

 

ごめんね、君が欲しいよ。

 

ひっそりと求めすぎた割に

何も伝えなかった。伝えられなかった。

壊したくなかった。臆病な私は。

 

 

結えない愛は

その深さだけ傷を遺して

いまだ素直になれない。

 

君と過ごした時間が

私をいつまでも足止めする。

 

癒えない傷は儚いフィクションだと

苦し紛れに言い聞かせる。

ほら今日も矛盾の波に溺れて。

 

不意な仕草で気付いてたよ。

私じゃない誰かとなら君は幸せになれる。

 

すれ違い逸れる視線。

理由さえ言わないでさよならの時を迎える。

 

不意のメッセージは狡いからやめて。

せめてもの礼儀として。

 

約束できないまま遠くなる距離感。

足掻く勇気もないね。

 

どうせ最後まで気付かないなら

泣いて困らせちゃえばよかった。

 

 

同じ幸せを掴めない運命だったなら

せめて一緒に不幸になりたかったな。

 

私の不幸は

君が幸せになること。

 

君は私が隣にいて

一瞬でも幸せだった?