Night night
立ちくらみがする。
真っ黒なカーテンが上から降りてきて何も見えない。
裏切った数は記憶にないが
裏切られたあいつの顔は夢に出てくる。
主語が曖昧なとき
人は自分の都合の良いように解釈するらしい。
眩しすぎる夜も
戻らない時間も
遅すぎる後悔も
何一つ思い通りにいかない人生が残すものは。
ああ、立ちくらみが終わったって何も見えちゃいない。
黒に近い赤がまだ生きてることを知らせる。
痛くもない悲しくもない。
本当に死にそうなときはいつも死にたくないと叫ぶくせに。
これは罪だ。生きていくための罰だ。
まだ足りない、全然満たされない。
傷跡が傷になり深さだけが許される証。
誰かに泣いて縋るほど愚か者になれない。
迷惑がられて邪魔者扱いされるくらいなら1人で静かに消えてやると言いながら遺書を書く小心者。
あられもない、目も当てられない。
ないものばかり強請る今日にハッピーエンドを添えよう。
おやすみ世界。