He is not the man that he was when I first knew him.

どんな問いにも重ね続けた偽りは自己防衛という名の保険か優しい嘘か。今更どうだっていいけれど重ねなきゃ意味をなさない優しさなんてどこにもないよ。保険をかけなきゃ生きていけないなんてつまんないね。風邪の熱がズルズル先延ばしにした過ちを正当化した日の寒気とリンクする。

 

思い込んだ憧れは理想ではないことを自覚しないがゆえ、現実との乖離により衝動になる。憧れを持った好意は、経緯を払った好意は、ずっと消えないはずだった。たとえ衝動が存在していても相手が尊敬に値する人物である限り戦うという選択肢が最後まで残存することはないはずだった。

 

仮定の中を生き急いだために、全てを許すことができなかったという結果論。理由を欲しがる未熟さが痛々しいほどこの腕に残っている。別に分かり合えないままでよかったのに。根拠の無い自信、現実への無頓着さ、自分が持つことができないからと愛した長所もいつしか苛立ちに変わってしまう皮肉。

 

I wonder if we are able to see those who are very close to us as they really are.

 

未来を探せないなら作るしかないのに、冷静に話し合える言葉も、距離感覚も、余裕も、何もかも持ち合わせていなかった。息ができなくなるほどの恐怖の瞬間が数多のフラッシュバックのひとつに追加されただけ。

 

結局みんな同じで都合のいい関係が心地良い。身体の関係さえあれば、もしくはお金さえあれば大抵のことは解決する。二度と信じないと誓った言葉を信じてしまった過ち。理想を押し付けて今度こそ変わってくれると勝手に期待した間違い。繰り返される裏切りに気付いていたのに寂しさに勝てなかった自分の弱さ。

 

どれだけ時間をかけてもどれだけお金をかけても描かれた理想には永遠になれないと悟ったあの日。愛されたいと願う前に愛してたのに何も伝わらないならもう救えないね。

 

時間もお金もかけた労力すべてが無駄であったと気付いて夢から醒めた瞬間、点と点が線で繋がる。嘘みたいな謝罪の言葉、悲しすぎる無頓着、簡単な裏切り。

There are two reasons for my decision,and you know one of them. Now I tell you the other.

 

代替可能な部分ばかりを愛してしまう癖をやめなければならない。誰かのために生きなくていいことに慣れる。誰かのための幸福に絶望できたことは財産。利己的に生きていける幸福を噛み締めて生きる。さよなら。