Countless stars

 

 

それは人生を変える。

もっと正直に言えば人生を狂わせる。

 

 

推しが書いた5年前のブログ今でも読み返す。

もうその言葉達はもう何の意味も持たないのかもしれないのに。

 

 

15歳で家を出た。

義務教育の終わりが始まりを告げる。

毎夜かかってきた電話も3ヶ月と持たなかった。

生存確認がLINEで行われるようになって2ヶ月後、遂にはスタンプ1つのやりとりへと変わる。

連絡を全く取らなくなるまでに時間はそうかからないものだ。

 

「ごはんはちゃんと食べた?」

「おはよう、最近眠れてる?」

 

「仕送りしといたよ」

「夏休みはいつ帰ってくるの?」

 

「帰省するなら前もって連絡して」

 

 

「。」

 

 

 

今、推しは何をしているのだろう。

どこに居るの、誰といるの、何考えてるの。

気になって堪らない。

人間は好きなものが気になる。

悲しいことに例え向こうが認識していないとしても。

 

 

血が繋がっている。

人間はそれを親と呼ぶ。家族と呼ぶ。

離婚してしまえば赤の他人だと知らないおじさんに教えて貰った。

赤の他人が養育費をくれるらしい。

愛されることは難しい。

愛すことよりもずっと難しく感じる。

私がわたしで無ければ愛されたと代わりに誰かが唄ってくれる優しい世界で。

 

愛されたかった。

 

そういう星の元に生まれたのが悪い?

決まっていた運命?

 

笑わせないでと泣いた夜には満点の星。

誰かが死にたかった夜の数といい勝負だ。

 

 

 

電話が好き。

音が有るだけで落ち着ける。

声が聴こえるだけで安心する。

音を使う時間の共有は、耳から伝わる体温は、言の葉が届ける優しさは、全部全部愛おしい。

 

 

人は声から忘れていくらしい。

この世を去った人の声は録音機器に頼る他、蘇らせることは不可能だ。

もう声も思い出せない親を親と呼んでいいのだろうか。

絶対が存在しないと言われるこの世界で限りなく〝絶対〟に近く向こうも忘れている。

タダの金食い虫としか思っていないかもしれない。

 

 

推しは元気かな。

知らないことが有るという事実が不安を募らせる。

いつでも完璧に見える姿に感動し、誰も気付かない何かを求めて今日も追いかける。

 

 

 

ネイルをし過ぎた爪が割れた。

人は脆い。

限界を超えようなんて思えば忽ち壊れる。

報われない努力を努力と呼んではいけないと縛られる。

這い上がりたいと願う心もあっという間に死にたいと呟く。

 

じわじわと苦しめられた過去が脳裏によぎり、忘れていい出来事が記憶として残る。

 

生きてていいんだよって実感させて欲しいが為に偽物をバラ撒いた。

君が必要だよって言って欲しいが為に適当に抱かれてやった。

その時間が一瞬であったとしても。

 

どうせ何も満たされない。どうせ誰も分かっちゃいない。寂しさの重さは変わらない。古傷が痛む。血は止まらない。

 

 

 

 

願いが叶うなら死んだ暁にはいちばん綺麗な星になりたい。

 

大嫌いなあの人も

大好きな君も

満天の星は好きですか?