なんでもないよ

 

 

 

 

たとえ嘘でも唱え続ければ君はいつか勘違いしてくれると淡い期待を込めて繰り返した言葉は夜に溶けて消えていく。

愛想笑いの下で何を思ってるのと問いかけても秘密だと答えることもせず、不平も不満も綺麗に嘘で隠してしまう君が怖くて仕方ない。

 

過呼吸のまま鏡を割り続けた日々に意味があったのかどうかは2年経った今でも分からない。ボロボロになった身体で泣きついたあの日を覚えているのはきっと私だけだ。

誰のせいでもなく自分のせいだと繰り返し言い聞かせて耐えるのに精一杯だった私は狂気じみた毎日の結果を簡単にはのみ込めなかった。

 

すぐに跡形もなく消えてしまうことを知っていながら思いの欠片を少しでも残したくて私は君の腕を噛む。

はやく遠くへ離れていっそのこと手の届かないところにいて欲しいよ。もう二度と会えないなら一生仲良くしていける自信があるのにな。

 

他人に依存することはもうやめた方がいいと知っていながら繰り返す無能。期待を裏切る自分の情けなさを認めるには時間がかかるらしい。

些細なことをずっと覚えているのも諦め時が分からないのも今も昔も同じで“あと少し”と願う弱い心が苦しい。自分を驚くくらいに追い詰めては最終的に自暴自棄へと導く。

 

いつまで経っても成長しない自分が憎い。本当は言い訳が尽きそうで怖くて堪らないんだ。当たり前に言葉は感情をこえられないのに何度だって試してしまう。飼い慣らされた言葉じゃ一切響かないのに。

誰でもいいなら私じゃだめと強く言えたら楽なのかもしれないね。

 

優しくしないでと周りへ威嚇し続けた生活も疲れたでしょと見透かされた夜が懐かしくて消したはずの思い出を探してしまう。

いつだって適度な距離感は難しいみたいだ。

 

 

 

“ごめんね、君が欲しいよ”

なんてね。

 

 

 

 

なんでもないよ、今日で終わりにしよう。

グッバイ。