日記

 

沈黙を嫌うきみは今日も電話の向こう側で中身のない科白を並べ続ける。

 

もう怒る気力もないんだ、ごめんね。

 

 

「私じゃなきゃいけない理由すぐに言えるの?」

 

お金が欲しいとでも潔く言ってくれたら

褒めてあげたのに。

 

人間性だなんてバカバカしい。

素がどうのこうのって

こちとらカラコンすら外したことがないのに

笑っちゃうよ。

こんな風になる前に

壺の一つや二つ売りつけとけば良かったかな。

 

 

「俺にはお前が理解出来ない」

 

理解してやろうだなんて傲慢。

勝手に挑んで勝手に砕け散ってお疲れ様。

 

次は化けの皮を剥がしてから挑戦してみてね。

もう次なんて何処にも無いんだけれど。

 

 

 

ウィンウィンの関係って長くは続かないらしい。

 

「やっぱり女って変わるんだ」

 

なんで電話かけてこないのだとか

なんで嫉妬しないのだとか

愚問ばかり投げかけないで。

 

変わってしまったのはきみの方だよ。

 

 

ベランダで吸っていたiQOSを

気付けば部屋で吸うようになって

何時に行くねって事前に教えてくれていたのに

いつからか突然始発で訪ねてくるようになった。

お風呂洗いを手伝ってくれたのなんて遠い昔の話で

最近はお湯が少し冷めると怒ってた。

勝手に私の香水を振り撒いて

服は脱ぎ散らかしたまま

飲みかけのコーラを残して帰って行く。

 

実家暮らしの社会人ってすごいや。

 

 

 

 

ああ今日もごめんねしか言えないんだ私は。

本当はこんなにも沢山あるのに。

 

きみの好きな私は偽物だから早く気づいて。

思い通りになるオモチャが欲しいなら私じゃない。

ありがとうで終わらせて欲しい。

これ以上幻滅させないで。

いつまで待っても私からの答えは同じだよ。

 

 

 

 

 

 

嘘でも会う度に可愛いねって

言ってくれてありがとう。

自分からかけられない電話、

いつもきみからかけてくれて嬉しかったよ。

 

何処からはぐれたんだろう。

 

ちゃんと好きだったのにな。